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カテゴリー:
八重洲塾

テーマは「オランダ農業に学ぶ」

「素敵な未来農林水産業への、架け橋」を目指す、株式会社アグリインキュベーターが主催する「八重洲塾」では、農業の未来を担う最先端で活躍する方々を講師に招き、新しい農業の姿を模索しています。第34回・35回・36回の3回にわたり「オランダ農業に学ぶ」をテーマに、現地オランダよりリモートで開催します。34回目となる今回は、Greenbridge International代表の水城悠氏をお招きし「オランダ農業の特徴と強さ・温室バーチャル視察」と題して講演いただきました。

水城悠氏 :「オランダ農業の特徴と強さ・温室バーチャル視察」

2016年よりオランダへ移住して、オランダ農業視察をサポートするGreenbridge Internationalを起業。「オランダ農業トランスレーター」としてオランダ農業と日本との橋渡しを行っている水城悠氏がまず語ったのは、オランダ農業の「強さ」とその理由について。九州と同程度の面積にすぎないオランダが、どうして世界第2位の農産物輸出国になったのかを解説します。

「よく言われるのが『選択』と『集中』というキーワードです。オランダは国全体でトマトやパプリカなどの付加価値の高い作物を選択し、産業全体で集中することで、世界トップの収量を実現させています。また、最近は大規模化によってICTやロボットなどが搭載可能になり、20年でトマト農家の数は半分に、1農家あたりの平均の規模が2倍になっています。
 加えて、オランダはドイツやイギリスなどの大きな市場に陸続きで流通が容易という立地の優位性や、付加価値の高いものを作りそれを売ったお金で安い農作物を買えるEU市場の影響もあります。さらに世界一の農業大学であるワーヘニンゲン大学を中心に企業の研究室、研究施設が集まり、そこで新たなイノベーションが促進されているのです。」

面積は日本の九州と同じ程度、農地の面積は日本の約4割にすぎないオランダですが、世界第2位の農産物輸出額を誇ります。そのオランダの意外な一面、そしてオランダ農業を語るうえでの重要なキーワードに「効率化・大規模化」と「サスティナビリティ」があると水城氏は語ります。

「輸出額の世界第2位ですが、実は世界第4位の農産物輸入国でもあります。世界中から様々な野菜を仕入れ、さらに売っている、つまりビジネス上手な国なのです。主な輸出物としては、乳製品というイメージが強いですが、チューリップなどの花類、トマトやパプリカなども主な輸出物です。農業産業はGDPの約10%を占め、輸出の8割は五億人市場であるEU向けです。このオランダの農業を語る上で『効率化・大規模化』とともに『サステイナビリティ』、これらが非常に重要なキーワードであると思っています。」

オランダ農業をけん引する、6つの注目技術とは

大規模化・効率化を進めるとともに、農業の天敵である昆虫の利用、貴重な水の再利用などを駆使し、「少ないインプットで最大のアウトプットを出せる」のがオランダの農業の特徴だと語る水城氏は、続いてオランダ農業をけん引する6つの注目技術を紹介しました。

注目技術①:排水の再利用&浄水技術
「温室栽培では使われなかった溶液の廃液を回収して、浄化し、再利用することで世界的に貴重な水や肥料を無駄にせず、最大限利用しています。具体例としては、1キロのトマトを作るのに地中海の露地栽培では60リットルが必要ですが、オランダの現行の施設では15リットルくらい、最新の半閉鎖型と言われるエネルギー効率の高い温室だと4リットルと、少ないインプットで最大のアウトプットを実現させています。」

注目技術②:IPM~総合防除~
「病害⾍対策では主に天敵昆⾍を⽤い、化学農薬は必要な場合に局所的に⽤いる『総合防除』を導入しています。農家によっては完全無農薬で栽培することもあります。これはEU及び⼩売店が厳しい基準で減・無農薬を要求しているからです。農薬を頼ると害虫に農薬耐性がつき、より強い農薬が必要となるという追いかけっこになってしまいますし、EUの農薬基準の高まりから、今使っている農薬が将来は使えなくなる可能性もあるためです。」

注目技術③:農業ロボット開発
「東欧の経済成⻑によるオランダへの出稼ぎの減少や、オランダ国内と西欧が好況で農業以外の産業にも人手が必要などの理由で、農業人材の不足が問題となっていて、農業のロボット化が進められています。トマトの温室を自走し、自動で病害⾍検知して必要に応じて防除、トマトの収量予測も行い『どの時期にどのくらいの人が必要か』を正確に予測するロボットも技術見本市では登場するなど、さまざまな農業ロボットは、実際に現場で使われる直前まで来ていると感じています。」

注目技術④:化石燃料ゼロへ向けた研究
「オランダ北部には欧州最⼤級のガス⽥がありましたが、採取のしすぎが影響で地震が発生したため、オランダ政府は2023年までにガス⽣産を中⽌すると決めました。さらに近年、ガス代の上昇が起こり、オランダ施設園芸は、ガス以外のものを探し始めました。そして2015年頃から地熱利⽤等がはじまり、化⽯燃料に依存しない栽培実験が行われています。熱や⼆酸化炭素をできる限り外に逃がさない、つまりエネルギーが無駄にならない半閉鎖型の温室も徐々に現場への導入が拡大しています。これは植物が蒸散した⽔も空気中から回収し再利⽤することで、栽培資源(熱、⽔、⼆酸化炭素)をできる限り節約することができます。」

注目技術⑤:LED研究と光のレシピ
「⽇射の少ないオランダでは冬期に補光栽培が⾏われています。面白いのは、作物に最適な『光のレシピ』をみつけることで、⽣産性や質の向上を図っているというところです。オランダは肥料の適切な配合のことを『レシピ』といいますが、光を制御する『レシピ』でも、作物の栄養素や質を上げることができるということです。例えばルッコラに対して、他の条件を揃えて光の条件だけを変えたところ、ビタミンCが通常の10倍になったという結果があります。また、有害な硝酸態窒素を減らしたりもできるそうです。」

注目技術⑥:AIによる生産
「2018年後半から、中国企業のテンセントとワーゲニンゲン大学が共同で『Autonomous Greenhouse Challenge』というコンペを開催しました。このコンペでは4か月間キュウリを育て、実際に市場に出したときの利益の大きさを競いました。各種センサーから得たデータをもとにディープラーニング技術を使った演算で、水や溶液の制御、環境制御を行いました。最終選考に残ったのは世界のIT企業や大学の中から5チームで、参考地として同じ条件でオランダの生産者(人間)も参加しましたが、優勝したマイクロソフトのチームはそれを上回る収量をあげました。」

オランダ農業が進める、3つの新たな取り組み

オランダ農業のキーワードである、「大規模化」と「サステイナビリティ」の具体例として、最先端の農家事例と農業企業の事例、そして世界一の農業大学と賞されるヴァーヘニンゲン大学での研究事例を紹介したのち、オランダの農家で進められている新たな取り組みについて、水城氏は次の3つの事例を取り上げました。

新たな取り組み①:農家の六次化
「新たな取り組みの一つとして、小規模農家が利益を残すために、様々な六次化に取り組んでいます。その一つが、認知症や精神障害を持つ方へのケアサービスを提供する『ケアファーム』です。1998年にはオランダ全国に75か所しかなかったのが、現在は1400以上あります。日本とは若干異なり、デイケアを受け入れることで国からお金が出ます。日本の場合は働いている収益で給料を払う形になりますが、こちらではケアに重きを置いていおり、農業がもつ多面的な機能である景観や土いじりを利用してケアを行っています。農家さんもケアに集中でき、生産だけに集中する必要が無くなり、利用者の幸福感を高めています。農業大国のオランダでは農業と福祉がうまく融合しています。オランダでも高齢化の問題は深刻化していますが、ケースとしては旦那さんが農業に集中して、奥さんがケア事業をやる場合が多いです。」

新たな取り組み②:循環型経済
「循環型・サステイナブルな農業を目指すオランダでは、循環型エコノミーに取り組んでいます。これはできる限り資源を無駄にせず、廃棄物を再利用して、バリューチェーンに循環させるというものです。一例としては、養鶏をするキップスターという会社では、食料廃棄物を飼料に活用して、97%の食料廃棄物を使って飼料を製造し、餌に関わる二酸化炭素量を50%削減しています。」

新たな取り組み③:都市型農業と昆虫食
「世界的に都市部への人口集中が続くなか、都市の食糧問題の解決策として『都市型農業』が広まっています。大都市の近くで生産できる屋上型温室や、浮いている牧場:フローティングファームなどが一例です。都市型農業の利点は、子供達に植物・農産物を作る方法を見せる「食育」の場になる点、もう一つは、ビルに農場が入ることで街全体が良好な景観になり、都市のバリューアップになる点です。土地代や電気代が高いため収益化は難しいですが、都市のバリューアップといった形で市が支援を行っています。次に『昆虫食』です。昆虫は少ない餌で大きく育つため、高効率で生産ができ、有機廃棄物からも生産が可能です。捨てられたものをバリューアップして、サイクルさせる循環型経済の一つとして、昆虫食が注目されてきているのです。途上国がますます豊かになり、肉の消費が増えてきているなかで、先進国ではこういった昆虫食が注目されているのは興味深いです。」

講演後に設けられた質疑応答の時間には、「大規模化の方法」「大規模農場間の差別化」「2020年度の農家の経営状況」といった農家の“生存戦略”に関する質問や、「日本の農業が取り入れるべきもの」「激化するヨーロッパ諸国との競争状況」など、国際的な競争が激化するなかでの指針を探す質問が水城氏へ寄せられ、活発な議論が行われました。

八重洲塾の名前の由来

現在は東京駅の東側を指す地名となっている「八重洲」。
この地の名は、江戸時代に通訳として徳川家康に仕えたオランダ人「ヤン・ヨーステン(1556-1623)」の屋敷があったことに由来しています。
ヤン・ヨーステンを生んだオランダは、日本が見習うべき農業大国であり女性の社会参画が積極的な国としても知られており、文化発展の礎となったこの地で「女性の活躍」や「農業」学びを発展させていきたいという想いをこめて『八重洲塾』という名前をつけました。

(主催:株式会社アグリインキュベーター、共催:一般社団法人未来農業創造研究会、協力企業:イオンコンパス株式会社・マイファーム株式会社・イーサポートリンク株式会社)

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