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八重洲塾
「素敵な未来農林水産業への、架け橋」を目指す、株式会社アグリインキュベーターが主催する「八重洲塾」では、農業の未来を担う最先端で活躍する方々を講師に招き、新しい農業の姿を模索しています。31回目となる今回の「八重洲塾」は、農研機構 果樹茶業研究部門 生産・流通研究領域 園地環境ユニット長の杉浦俊彦氏、農林生産法人「大崎農園」専務取締役の中山清隆氏、東京農工大学大学院 農学研究院 農業環境工学部門 准教授の辰己賢一氏の3名を招いて、「気候変動の下での持続可能な農業の推進について」をテーマに、9月25日に行われました。今回も会場での対面講演をオンラインでも配信するハイブリッド形式での開催となりました。

杉浦俊彦氏 :「我が国の農業における温暖化影響の現状と適応策」

杉浦氏の講演は、今年6月に開催された「八重洲塾第29回」での講演の続編で、日本の農業における温暖化の適応策についてお話いただきました。「野菜」「米」「果樹」のそれぞれで温暖化の適応策には違いがあるといいます。

「野菜」は主に品種によって露地野菜と施設野菜とに分けられます。露地野菜の場合、温暖化による最大のデメリットは全国各地の栽培地域で時期をずらしながら順番に生産・出荷する「リレー出荷」ができなくなること。その対策は、収穫時期を調節するために種蒔きの時期をずらすという方法があります。そこで気象庁が発表する長期予報を元に、気温の推移を見越して栽培を行うようになると予測しています。また施設野菜は、施設の高度化が今後どんどん進むと予想し、究極的には気候変化の問題から解放される「植物工場での栽培」という対応策に至ると、杉浦氏は予測します。

一方、「米」の栽培での適応策として挙げたのは「品種の改良・変化」。以前、コシヒカリの作付面積はササニシキと一、二を争っていた時代もありましたが、現在ではコシヒカリの一人勝ち状態です。しかし、高温に弱く、品質低下が起きやすいため、新しく開発された高温耐性品種が少しずつ増えていると語ります。その理由も冷害に強い品種への変更が理由だと語ります。

そして「果樹」は、温暖化による変化への対応が単純ではありません。杉浦氏はミカンを例にその理由を次のように語ります。

「気温が上がってきたから、北の方でミカンを作るようになるかというと、それはなかなか難しい。ミカンを作って投資する以上に儲かるということが担保されないと実際には厳しいのです。そして今のミカンの値段を考えると、ミカン栽培が北の方に広がるという状況にはないのです」

そこで期待されているのが、日本ではまだほとんど作られておらず、高値がつく果樹への転換です。松山市の事例では高値で取引できるアボカドに着目し、主にミカン生産者にアボカドの苗木を配布し、将来的にミカンに変わる名産品になることを目指す事業を行っています。

杉浦氏はそれぞれの対応策の予測を紹介したのち、「農業の基本は適地適作ですので、気候が変わればそれに合わせて栽培するものも変えていくことを考えていかなければいけない」と締めくくりました。

中山清隆氏:「気変化に対応する農業〜気候変動との共存〜」

生産者の視点から、気候変動への対応策について講演いただいた中山氏のお話は、野菜の価格からスタート。気候変動が農家の経営に与える影響を次のように語ります。

「この10年で、すべての野菜を市場に出荷して利益が取れる確率は、11月は五分五分、12月は4割しかありません。このような極端な単価の変動もあるのですが、市場出しだけだと、本当に乱高下の激しいのが農業の実情です」

農業とは、シンプルに見れば「野菜を生産し、販売する仕事」ですが、実際には日々問題解決の連続だといいます。その実情を中山氏は例を挙げて解説してくれました。

・農業の中で一番大事なのが気象の変化を予測する。
・例年値、平年値、マーケットの変化を予測する。
・播種・定植した後は、マーケットの相場が強いときに契約量が足りなくならないように、自社の生育日数等を予測しながら、相場が高い時には在庫を確保する。
・逆に安くて売りそびれてしまいそうなときは早めに販売をする。
・それと並行して、自社の能力を把握する。
・たくさん出荷したいといっても労働時間は限られているので、早めに判断しながら、もしくは人材を増やしながら、等価労働時間を予想する。

続いて、大崎農園で行われている「播種の積算気温、積算温度を見ながら、いつ収穫するかを予想する」という気候変動への対策をダイコンを例に挙げて解説。それを踏まえて温暖化・生産の安定のための同社ができる4つの対策を紹介しました。
①冬期気象予測により品種を検討。
②冬期気象予測により生育日数の予測をしながら播種を行う。
③播種した後は積算温度により生育・出荷見込の予測。
④各産地の作況の情報の収集を行い、予測をしながら販売。

最後に、中山氏は今後の対策についての展望を語りました。
「農業生産において、ここ数年の気象の激変は非常に過酷なものがあります。しかしながら、気象の変化についていかなければ経営は成り立ちません。地域ごとに、品種・作柄の変更、マーケットの変化に対する品目の検討などの検討も必要になってくるのではないかなと思っております」

辰己賢一氏:「気候変動下での作物の生産性を正確に予測するための技術と課題」

杉浦氏と中山氏から実現場に即した対策についてのお話があったあとで、辰己氏からは、モデリングの側面から気候変動下の作物生産性を正確に予測するための技術と課題について講演いただきました。

地球規模での平均気温の上昇幅や、それに対する作物への影響を考えるうえでの1つの手段が「モデリングによる推定に基づいたアプローチ」だと考えられます。辰己氏が10年ほど前に作成したモデルをスライドで紹介します。「ある場所の気象条件のもとで、灌漑、施肥、病害虫駆除などを行なった場合の収量を算定するモデルで、基本的には作物の生理生態学的な特徴と、成長と気象、外部環境との関係性を定式化していってモデルとして積み上げていったものです」。これを元に予測すると、温暖化によって収穫のポテンシャルが減少する地域、逆に増加する地域が可視化されます。さらに過去の衛星データなどを合わせるとさらに高精度に可視化され、気候変動や政策による環境変化と農業への関連をより定量的かつ可視的に明らかにできるといいます。

さらにスケールを狭くし、UAV(無人飛行機)で空撮した画像を並べて空撮した画像を並べ、その空撮写真から3次元モデルを作成すると、対象となる畑の3次元点群データが得られ、「気象データと生育との関係、あるいは画像による生育分析、バイオマスの高精度なシミュレーション」に用いる情報抽出が可能になります。

さらにスケールを縮めると、葉っぱ一枚一枚の光合成あるいは蒸散機能から出発して、群落の光合成蒸散あるいは光合成の産物の各器官への分配後物質交換を経て、成長に至る過程というのは気象、外部の環境とか管理データ、などのデータも取得できる技術が開発されて、それらのデータ関連させたモデルも実現可能になると、辰己氏は言います。「現在ではこの地上部の話と、この地下部、土壌の物質の動態モデル、これをうまく結合させて研究を行っているところです」。

最後に今後の展望として、辰己氏は次のように語りました。
「もう少し進むと、その場所でしか使えないという技術ではなく、その地域や圃場が持っている特徴や特異性を含めたうえで、汎化性の高い作物の成長モデルの実現、圃場から大陸また全球・時空間のスケールをシームレスに繋いで、持続可能な農業の実現に向けた課題の解決、あるいはそういったものに貢献できるように、私たちは努力していきたいと考えております」

■八重洲塾の名前の由来
現在は東京駅の東側を指す地名となっている「八重洲」。
この地の名は、江戸時代に通訳として徳川家康に仕えたオランダ人「ヤン・ヨーステン(1556-1623)」の屋敷があったことに由来しています。
ヤン・ヨーステンを生んだオランダは、日本が見習うべき農業大国であり女性の社会参画が積極的な国としても知られており、文化発展の礎となったこの地で「女性の活躍」や「農業」学びを発展させていきたいという想いをこめて『八重洲塾』という名前をつけました。
(主催:株式会社アグリインキュベーター、共催:一般社団法人未来農業創造研究会、協力企業:イオンコンパス株式会社・マイファーム株式会社・イーサポートリンク株式会社)

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