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八重洲塾
技術革新が進み、目まぐるしく変化する世の中で、既存の価値観が大きな転換を迫られています。これからの未来は瑞々しい価値観を持った人たちと次代の若者が担ってゆくでしょう。「未来農業への懸け橋」を事業コンセプトに掲げる株式会社アグリインキュベーターが主催する八重洲塾では、食や農業の分野において、SDGsの各項目のゴールとどのように関わり、貢献できるかをSDGsの専門家を招いて学び考えていきます。
(共催:一般社団法人未来農業創造研究会 協力企業:イオンコンパス株式会社・マイファーム株式会社)

テーマは「SDGs:気候変動と農業」

SDGsは地球環境や経済活動、人々の暮らしを持続可能とするためにすべての国が2030年までに取り組む行動計画で、気候変動対策など17の目標からなっています。 29回目となる今回は、農研機構の杉浦俊彦氏、カルビーポテト株式会社の植村弘之氏、日本気象株式会社の和中道仁氏の3名をお招きし、八重洲塾では初めてとなるオンラインでの開催となりました。それぞれの知見とSDGsの取り組みから、学び考えていきます。

杉浦俊彦氏 :「わが国の農業における温暖化影響の現状と適応策」

農業と食品産業分野における日本最大の研究機関、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(通称:農研機構)」に所属し、温暖化が農業に及ぼす影響を20年以上にわたって研究している杉浦氏。日本では過去100年で1.2℃の気温上昇が見られる、という話題から、温暖化の具体例を解説してくれました。

「ここ40年の間での、東京と静岡の平均気温を比べると、1970年代〜1980年代の静岡の気温よりも、1990年代の東京の気温のほうが高いことが分かります。つまり、今の気温だと東京でミカンを作っても、十分作れるというような状態になっているわけです」

さらに、約1℃の違いが農業や農産物にどのような影響を与えるのかについて、次のように語ります。

「平均気温が1℃上がるといっても、年によっての変動が2℃〜3℃程度の幅になります。農業は温度の影響が非常に大きい産業です。気温が低い夏には米の冷害があるように、3℃も幅があると冷害や高温の被害が出ます。だんだん気温が上がると、高温の被害が出る頻度が非常に増えてしまいます。(中略)人間にとって1℃の影響はたいしたことありませんが、植物にとって、実は1℃って大きい差なんです」

杉浦氏によれば、温暖化の影響は高温による被害のほかにも、植物の発育の変化や降水の極端化、家畜のエサの摂取量が減るなどがあるといいます。

そのような温暖化の被害を軽減する対策および温暖化を活用する「温暖化適応策」についても、大きく分けて3つあると杉浦氏は紹介しました。
「1つは植物の栽培技術・畜産の生産技術での対応、もう1つは温暖化対応品種を使うこと、もう1つが栽培をあきらめて別の作物に転換する」

作物転換の例として、現在はリンゴの産地に適さない北海道でも、気温の上昇によって将来的にはリンゴの生産に適した土地になると予想されていたり、また現在リンゴの一大産地である津軽地方の一部ではリンゴから桃へと転換が行われていたり、といった事例が紹介されました。

植村弘之氏:「近年の異常気象に対するカルビーポテトの取組み」

カルビーの原料部門が1980年に分社化して設立された「カルビーポテト株式会社」の植村氏が切り出したのは、2017年に起こった「ポテチショック」の話題。「ポテチショック」とは、2016年8月の1か月間で4つの台風が北海道を襲ったことで、ポテトチップの原料となる馬鈴薯が大幅な減収となり、翌年の4月にポテトチップスが店頭が消えてしまった現象です。同社が1年間に扱う馬鈴薯の約1割に相当する約3万トンの減収となった出来事をきっかけとして、「気候変動への備えを、解決すべき課題として取り組まなければならない」と再認識したといいます。

しかし、馬鈴薯を調達できれば産地や品種は構わないというわけではありません。植村氏は、「ポテトチップに適した品種が必要」「適した栽培の実践が必要」「毎年安定的に馬鈴薯が必要」という3つの理由をあげ、そのために「契約栽培」の必要性を説明。安定的な馬鈴薯の調達を実現するために現在取り組んでいるのが「産地構成の改革」「畑(圃場)の改革」「収穫・集荷方法の改革」についても説明を行いました。

産地構成の改革の一環として「産地の分散」と温暖化との関係について次のように語ります。


従来の産地とも良好な関係を維持しつつ、さらに馬鈴薯の量を増やすにあたって、産地を分散させようという考え方です。北海道であれば札幌近郊の道央地区、オホーツク海の網走地区、あるいは道東の中標津地区、このようなところで馬鈴薯の調達を増やして、産地を分散させることに取り組んでおります。オホーツク側、網走方面は比較的冷涼な地帯です。これから温暖化が進行することを考えると、こちらで馬鈴薯の調達を増やすというのは非常に有効かと考えられます。


また新たな品種の開発によって温暖化等の気候変動にも対応する取り組みを紹介しました。


北海道以外の地域向けの品種として、「なつがすみ」という品種が既にデビューしておりまして、関東などの暑い地域でも比較的良好な成績を残しております。このように品種を開発して、気候が変わった地域でも対応できる品種ができています。これからもこれを続けて気候変動に対応できる品種の開発を続けていきたいなと思っています。



植村氏は最後に、温暖化のリスクについての試算を紹介したうえで、その課題の重要性と同社の取り組み姿勢を語りました。


北海道総合研究機構というところでは、温暖化により2030年代には馬鈴薯の収量が15%減少するという試算もしております。これらを避けるためにも、今言った課題をこれからも進めていく必要があると思います。これらの気象変動への対応は、正直簡単ではございません。また終わりはなく長期間かかると思っております。ただ食料をきちんと皆様にお届けするという使命もあると思っていますので、非常に重要な課題と思っております。長期的な課題としてこれからもこの問題に取り組んでいきたいと思っております。




和中道仁氏:「地球温暖化の脅威~ほぼ確実に生じる気温の急上昇~」

オーストラリアの大学で環境学の修士課程で、気候変動の影響、環境への影響と農業への影響を中心に研究した経歴をもとに、現在は日本気象株式会社で気象データを用いたコンサルティグや洋上風力発電への技術コンサルティングに従事するほか、気候変動についてセミナー等で広く伝える事業を行っている、和中道仁氏。

1860年〜2020年までの平均気温の推移データをもとに温暖化の概況をもとに、パリ協定で掲げている「世界平均気温の上昇を、産業革命前と比較して、2℃未満、できれば1.5℃未満に抑えること」という目標の達成は非常に困難である現状を紹介します。


2017年時点の温室効果ガスの排出ペースが継続された場合、大体2030年から2050年の間までには産業革命前の気温と比べて約1.5℃の気温上昇の発生が予想されております。さらに、そのままのペースで温室効果ガスの排出が続いてしまうと大体2050年から2060年頃には約2℃の気温が上がってしまうことが予想されており、これはいわゆるパリ協定の目指している目標を達成できないということになってしまいます。我々は今この状況にいるというわけです。




さらに、世界平均気温が2℃以上上昇した場合、日本の平均気温は今世紀末頃には「4〜6℃上がることが(最悪のケースとして)予想されている」と述べたのち、「日本では、農業からどのくらいの温室効果ガスが産生排出されているか」について語りました。

(日本における各産業別CO₂排出量は)エネルギー産業が約42%、発電ですね。これが一番多くなっておりまして、その次に製造業・建築業が約23%。(中略)いくつかの研究で電力消費量分を含めた農業からのCO2排出量を割り出してみようという研究もございまして、そのうちの一つから言えるのが、大体電力消費量も含めると全産業で消費されるCO₂の10%~15%ほどに相当するのではないかといわれております。やはりかんがい排水設備だとかハウスで温度管理をしながら栽培することも多いと思いますので、電気消費分も含めますと、農業からの温室効果ガスも少なくはないということがいえるのではと思います。




「農業部門での温室効果ガス緩和策」として、「再生可能エネルギーで発電された電力への切り替え」「土壌への炭酸ガス固定」の2点を挙げ、具体的な方法のほか、海外での事例や政府の政策について紹介しました。
最後に、農業分野全般の対策についてまとめたあと、生産者だけではなく、様々な農業関係者が協力して行うべき対策について次のように語りました。



一つは、横のつながりで、今後の気候変動への対策に関する知識の共有を図っていくことが重要だといわれております。(中略)同じ業界の同じような立場の方々と一緒に組合や、農協などでつながって知識を共有していける場を設けることが一つ有効だといわれております。
二つ目は、縦のつながりです。縦のつながりとは、サプライチェーンにおける上流から下流にかけて登場するそれぞれの企業のつながりのことを指しますが、今後の気候変動への対策には、生産者単体だけではなく、サプライチェーン単位での対応が必要になってくるといわれております。(中略)セクターごとに、生産は生産でしか考えない、加工は加工でしか考えないのではなく、サプライチェーン単位でこの商品はこうしていきましょうという議論がなされて、意思決定が進められていくべきだと言われております。
最後は、消費者への情報提供です。消費者も気候変動への関心、そして懸念もどんどん強くなっていっていますので、商品を選ぶ際に「この商品の方が他の商品よりも気候変動に対する取り組みを実施しています」というのが新しい価値として見いだされるといわれております。一例としては、カーボントラスト社というイギリス国営の非営利企業が出している「フットプリント認証ラベル」というものがあります。フットプリントというのは、この商品を生産したときにどれくらい環境に負荷をかけているかという概念で、この認証ラベルは、この商品は他と比べて温室効果ガスの排出量が少ないですよ、これを生産するときにどれくらいのCO₂が排出されたか計っていますよ、という認証ラベルです。認証ラベルは取った後もモニタリングや監査等大変なことは重々承知しておりますが、こういった認証ラベルで消費者へ情報提供していくことも重要といわれている次第です。

■八重洲塾の名前の由来
現在は東京駅の東側を指す地名となっている「八重洲」。

この地の名は、江戸時代に通訳として徳川家康に仕えたオランダ人「ヤン・ヨーステン(1556-1623)」の屋敷があったことに由来しています。

ヤン・ヨーステンを生んだオランダは、日本が見習うべき農業大国であり女性の社会参画が積極的な国としても知られており、文化発展の礎となったこの地で「女性の活躍」や「農業」学びを発展させていきたいという想いをこめて『八重洲塾』という名前をつけました。

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